ぶらた
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「あの子の声が聞こえないの?」
その言葉を最後に貴女は家を空けた。
私はまだ口の利けない娘と二人だけになった。
「あーあーーっ」
娘は時々、空を見上げて叫ぶ。
意味のない音。
貴女が言った、声とはこのことなのだろうか?
なぜ貴女はあの日・・・。
「あーあーーっ」
娘は空に向かい、その小さな手を伸ばす。
何かが娘の頭の上で光る。
近づくとそれは白鳥の羽・・・。
ふわふわと羽は娘の上に降り注ぐ。
「あーあーーっ」
娘が先ほどと同じように空を見上げて叫ぶ。
すると、声に答えるかのように空を埋め尽くす白鳥の群。
空を青と白にわけ飛ぶ。
娘はその小さな手で一枚の羽をつかんだ。
真っ白な羽。
娘は笑顔でその羽を私に差し出す。
それはいつか見た光景。
貴女がいて、私がいて、娘がいて。
空からの贈り物を貴女が受け取り、私と娘に差し出した。
『プレゼント♪』
『なんで、羽がプレゼント?』
『あら、貴方忘れたの私たちの大事な娘の名前を?』
『それでプレゼントか』
そういって貴女が差し出した羽を今また貴女の娘が私に差し出す。
これが、貴女が言っていた声ですか?
『今度は貴女がちゃんとパパにあげるのよ』
『おいおいおい、俺は貰うばっかりかい?』
『当然でしょ。貴方以外に誰が貰ってあげるのよ』
『そりゃそうだけど』
『ねぇー宝来ちゃん、名前通り宝を連れて来るんだもんねっ』
笑顔の貴女に微笑む娘と私。
貴女が伝えたかった声とは娘が空に願う・・・。
私を想っての声ですね。
-Fin-
「お前の手ってさーエロイよな」
唐突すぎる言葉に思考が止まる。
「はっ?」
条件反射的に返した生返事を相手は相づちだと思ったのか話を続ける。
「エロイというかエロス?」
疑問系だが目は明らかに肯定して欲しそうだ。
「その親父発言は一体どこからくるのかねぇ~」
まったく良く伸びる頬なこと。
一切の手加減もない俺の指使いに相手は涙目で訴えてくる。
「痛っっ・・・痛いって」
ふふふ、楽しいやつよ。
「ほぉー痛いか、もっと痛くしてやる」
「サド、悪魔、エロス」
人が少し力を緩めたら何言いますかねーこやつは。
「さっきから何が言いたいんだね、ううん?」
笑顔で聞いてやる。
「いたひです、はなひてーーー!!」
指には力を入れて。
「離してやるから言うてみぃ?」
優しいなー俺様は。
「はーはーはー痛かった」
「で、何?」
「だから、お前さっき手洗ってただろう」
「誰だって食事の前は洗うだろ?」
「水が冷たかったのか白かった手が徐々に赤くなっていっただろう」
「確かにな」
「泡によって手が艶を帯びぬめっていっただろう」
「そうだな」
「手洗うときって右手と左手が移動するだろ?」
「移動するなぁ」
「その手の動きがイヤラシーかったのよ」
「それでなぜ俺限定なのよ」
「いやーお前の手って男にしては妙に細くて白いだろ?なんか女みたいに」
「殺すか?」
「まー最後まできけって!!そんでもって節は滑らかで爪は桜色」
「で?」
「なんか絶妙な加減の手なのよ」
「ほお~それで言い訳は終わりか?」
「だぁぁぁ!!納得しろ、お前の手はエロスだ」
「納得できるかぁぁぁぁぁ!!!!!」
「うっうっうっ酷い、思ったこと言っただけなのに」
「思うだけじゃなくって言うからだろ」
「これが言わずにいられるかってんだっ」
「そこで力説されてもなぁ」
「お前の手が悪い」
「悪いって」
「明るいところで見ると偏屈なピアニストの手なくせして暗いところで見るとエロスなその手が悪い」
「おい、偏屈って何だ?」
「お前の性格」
「ほお~」
「ピアニストだって言ってるんだから怒るなよ?」
「お前があんまり手、手言うから変なこと思い出したんだよ」
「どんなこと?」
「期待に満ちた目されるほどの話しじゃないんだが」
「別に良いから聞かせろよ」
「とある友人に言われたのだが『お前の手って宇宙人みたいだな』と」
「へっ?」
「だから宇宙人なんだと手が」
「なんで?」
「日の下に出来た影が何の凹凸もない五本の手だったもんでそう感じたんだそうだ」
「お前ろくな友人居ないな」
「お前を含めてな」


