ぶらた
字書きサイト 更新停止 →pixivへお引っ越しします。
翌日の朝刊
大富豪
○株式会社森ヶ丘コーポレイション社長 森ヶ丘北斗・桃香ご夫妻
ご令嬢・ご子息・誘拐される
長女 彩香 十ニ歳
長男 緑斗 十歳
次男 雪斗 六歳
犯人は若い男
○株式会社東洋電子工業専務刺殺
犯人は若い男
共犯は若い女
監視カメラの映像によると
男が使用している車は同一である。
複数犯である可能性が高く
警察は男が使用している車の手がかりを求めている。
「へぇ~若い女ね・・・
確かに私若いわよ」
新聞を読み女は言った。
「十ニのガキが何言ってるんだ!!」
訂正:幼い女の子は言った。
「なによ~!!
あそこで捕まってたら誘拐罪と無実の殺人で速攻刑務所送りよ。
感謝されることはあってもそういう口の利きかたされる覚えなんてないわよ。」
小六女子とは思えない言葉に男は黙った。
というか黙らざるおえない。
女の子、彩香の言葉はどこまでも正論だったからだ。
「ところで誘拐犯さんお腹すいたんだけど」
「アキトだ。誘拐犯なんて人聞き悪いから使うな!!」
人聞きを気にするなら初めからやらなければいいのにと彩香は思った。
でも、事情ってやつよねと鷹揚に彩香は心の中で頷いた。
「どんな字書くの?」
「明るいに人間の人だ」
「人生裏街道走ってるのにね~」
「五月蝿い。お前はどうしてそうも口が立つんだよ」
「長いこと人間やってると自然と覚えるってもんよ」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
見詰め合うふたり。
お互いがお互いの出方を伺う。
「私、彩香って名前だけどみんな彩って呼ぶの。
アキちゃんも彩って呼んでよいよ。」
「おい、アキちゃんって何だ?」
「弟も短く緑と雪って呼んでくれてかまわないわ。」
「無視かよ・・・」
両肩を叩かれる。
弟たちは何時の間にか左右におりうな垂れる明人の肩を叩いた。
「おまえたちいい奴だな」
姉である彩香の仕打ちに凹んでいた明人は思わず呟いた。
緑「これぐらいでめげてたらこの先生きてけないぜ」
雪「虐めに負けちゃ駄目だよ!!」
明人はその言葉に更に凹んだ。
生きるって何?
虐めって何?
最近の若い子ってこんななのか?
俺の人生どこで間違っちゃったんだろう・・・。
自分のしでかした事を棚に上げ明人の考えは深層を彷徨っていた。
そんな事はしったこっちゃない森ヶ丘三姉弟は今朝の朝食について熱く語り始めた。
彩「秋ちゃん、ビンボーそうだから高いのは払えないと思うの」
緑「おねえー俺CMで見るマク○ナルドに言ってみたい」
雪「ボク、一度でよいからミス○のお粥食べてみたかったんだ」
彩「そうね。値段的にもファーストフードは妥当な線よね。
安い早い便利という三原則は私たちにとって未知の領域ね」
深層を彷徨っていた明人の精神はどうやらファーストフードというところで落ち着きそうな朝食会議の結論に反応した。
「全部却下だ。朝食は決まってる」
「「「ええ~~~」」」
三人は不満そうな顔をする。
それではいったい自分たちは何の為に熱きバトルを繰り広げたのか分からないのではないか。
視線は時として言葉より雄弁に心に響く。
が、明人には拘りが合った。
朝食というのは一日の活動原である。
昼食夕食は抜きにしても朝食は食べるものだ。
明人のこの考えは幼少期の家庭環境にありそれはおいおい物語では重要になっていくが今回は長いので割愛。
「文句は食べたから言え」
明人はそう言い台所に向かった。
居間に残された三人は炬燵の中に入りほお杖をつきながら小声で喋る。
縁「おねえーなんで逃げない?」
彩「それは言わないお約束でしょ」
雪「僕お約束してないよ」
彩「忘れただけでしてるのよ」
雪「そうか。ごめんねーお姉ちゃん」
縁「おいぃ。騙すなよ、そんで騙されるなよ雪」
彩「まぁv冗談は半分にして
これからどうしよっか~、世間じゃ私たち誘拐されてるみたいだし」
縁「妥当なところは家に帰る、だな」
雪「うん」
彩「あんたたち帰りたい?」
「「・・・・・・」」
弟たちはお互い見つめあい苦笑する。
彩「そうなのよねー。ここは普通のお子さんなら
お家に帰して、ママとパパに会いたいー、みたいな可愛い事言って
泣いちゃう所なのよ」
緑「泣いても良いよ、おねえー」
彩「あんたたち私らがそこいらにおられる普通のお子さんに思うの」
雪「思わない」
彩「そうでしょ、今だって年に数回、酷いと丸々一年会わない親なんてそうそういないわよ。
しかも親の代わりに各地に連れまわされる生活なんてもうウンザリ」
ぱちぱちぱちぱち
弟たちは賛成の意を評し手を叩く。
彩「もうちょっとだけ、この生活楽しみましょ♪
子供らしく後先考えずに」
雪「賛成!!」
緑「意義なーし」
彩「では、ここに。
アキちゃんによるドキドキ愛の逃走線をお送りいたします」
盛り上がる三姉弟。
その明るい声を障子越しに聞きつつ明人は思った。
なんか違くねーか。
誘拐ってこう、お通夜みたいで、暗いものってイメージあるのに
何だって俺は自宅の台所であいつらの朝食を作ってるんだ。
明人はどんどんずれていく現実とのギャップに戸惑っていた。
まぁーいいか。
これ以上考えるとドツボにはまりそうなので明人は思考をいったん停止して
朝食作業に没頭した。
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