ぶらた
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禍々しいほど不吉な月
けれど
遙か昔
その月は汚れを知らない存在だった
何もかも天空の彼方より
見下ろす
燦然と輝く月が今地上に姿を現す
けれど
遙か昔
その月は汚れを知らない存在だった
燃えさかる業火
足下に転々と転がる肉片
少女が二人
一人の少女は
その道を眉一つあげることもなく
淡々と歩く
傍らにいる少女は糸が切れたマリオネットのように
その少女に手を引かれ歩く
瞳は何の感情も映していない
村を一望できる場所までたどり着いたとき
手を引かれていた少女の足はもつれ地面に倒れる。
「サラ、大丈夫?」
心配そうに少女は倒れ込んだサラを見る。
「・・・」
サラは何も言わず少女を見る。
「どうしたの、気分でも悪い?」
「リン」
リンはサラに優しく微笑む。
その慈愛に満ちた微笑みを見たサラは一瞬何もかも忘れてしまいたくなる。
先ほど見た光景は夢だった。
そう思いたかった。
けど
背後で燃えさかる炎の悲鳴がその想いを吹き飛ばす。
「でも、もう少しだけ歩きましょ。
ここにいては息苦しいわ」
そう毅然とリンは言う。
その言葉に顔を上げると見たこともないほど美しい少女がいた。
リンの表情が何か晴れ晴れとしていて。
見慣れたはずのリンだとはとてもサラには思えなかった。
遠くから馬の嘶きが聞こえた。
サラの身体は小刻みにふるえる。
生き残っていた村人の誰かが近隣の村に通報したのだろうか。
そしてリンをリンを捕まえる気だろうか。
「逃げなきゃ、リン!!」
「なぜ?
私たちが逃げる必要はないわ」
「リン・・・
私貴女と離れたくないの」
リンは小首を傾げる。
「ええ。
私も貴女と離れる気はないわ」
近づく足音。
一人二人のものではない。
数十人、数百人の足音がこちらに近づいてくる。
「バイラの村に火を放ったのはお前達か?」
先頭で示唆をする男がそう問いかける。
サラは口を閉ざし何も言わず、無言でリンの前へ出る。
どこまでもリンを守ろうとするサラ。
だからサラは知らない。
リンの瞳がサラを冷たく見つめていることに。
「サラ、ごめんなさい」
「えっ!?」
ドンと鈍い音が身体を駆け抜ける。
サラの後頭部をリンが強打する。
倒れ込むサラ。
その身体を優しく地面に横たえるリン。
そして問いかけた男に悠然と笑みを浮かべ答える。
「一番偉い人は誰?
呼びなさい」
遙か頭上から自分を見下ろすその言葉に。
普通なら怒鳴り返す己がたかが小娘の言葉になぜか逆らうことが出来ない。
男が白黒していると後ろの方から声がかかる。
「私の事かな、お嬢さん」
絢爛豪華な衣装に身を包んだ男が一人姿を現した。
その衣装に負けないほど体躯も立派だが、何よりその瞳はその場にいた誰よりも鋭かった。
笑っているのに笑っていない。
仮面のような表情が不気味なほど静かだった。
その瞳をそらすことなく受け止めリンは高飛車に言う。
「ええ。
そうよ、貴方で良いわ」
足下に転々と転がる肉片
少女が二人
一人の少女は
その道を眉一つあげることもなく
淡々と歩く
傍らにいる少女は糸が切れたマリオネットのように
その少女に手を引かれ歩く
瞳は何の感情も映していない
村を一望できる場所までたどり着いたとき
手を引かれていた少女の足はもつれ地面に倒れる。
「サラ、大丈夫?」
心配そうに少女は倒れ込んだサラを見る。
「・・・」
サラは何も言わず少女を見る。
「どうしたの、気分でも悪い?」
「リン」
リンはサラに優しく微笑む。
その慈愛に満ちた微笑みを見たサラは一瞬何もかも忘れてしまいたくなる。
先ほど見た光景は夢だった。
そう思いたかった。
けど
背後で燃えさかる炎の悲鳴がその想いを吹き飛ばす。
「でも、もう少しだけ歩きましょ。
ここにいては息苦しいわ」
そう毅然とリンは言う。
その言葉に顔を上げると見たこともないほど美しい少女がいた。
リンの表情が何か晴れ晴れとしていて。
見慣れたはずのリンだとはとてもサラには思えなかった。
遠くから馬の嘶きが聞こえた。
サラの身体は小刻みにふるえる。
生き残っていた村人の誰かが近隣の村に通報したのだろうか。
そしてリンをリンを捕まえる気だろうか。
「逃げなきゃ、リン!!」
「なぜ?
私たちが逃げる必要はないわ」
「リン・・・
私貴女と離れたくないの」
リンは小首を傾げる。
「ええ。
私も貴女と離れる気はないわ」
近づく足音。
一人二人のものではない。
数十人、数百人の足音がこちらに近づいてくる。
「バイラの村に火を放ったのはお前達か?」
先頭で示唆をする男がそう問いかける。
サラは口を閉ざし何も言わず、無言でリンの前へ出る。
どこまでもリンを守ろうとするサラ。
だからサラは知らない。
リンの瞳がサラを冷たく見つめていることに。
「サラ、ごめんなさい」
「えっ!?」
ドンと鈍い音が身体を駆け抜ける。
サラの後頭部をリンが強打する。
倒れ込むサラ。
その身体を優しく地面に横たえるリン。
そして問いかけた男に悠然と笑みを浮かべ答える。
「一番偉い人は誰?
呼びなさい」
遙か頭上から自分を見下ろすその言葉に。
普通なら怒鳴り返す己がたかが小娘の言葉になぜか逆らうことが出来ない。
男が白黒していると後ろの方から声がかかる。
「私の事かな、お嬢さん」
絢爛豪華な衣装に身を包んだ男が一人姿を現した。
その衣装に負けないほど体躯も立派だが、何よりその瞳はその場にいた誰よりも鋭かった。
笑っているのに笑っていない。
仮面のような表情が不気味なほど静かだった。
その瞳をそらすことなく受け止めリンは高飛車に言う。
「ええ。
そうよ、貴方で良いわ」
何もかも天空の彼方より
見下ろす
燦然と輝く月が今地上に姿を現す
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